堺気功のひろば

堺気功のひろばのブログです

東田さんの本を読んで思うこと

友だちと読書会を月1回しています。今は、東田直樹さんと精神科医の山登先生の往復書簡「自閉症の僕が行きていく風景  社会の中で居場所をつくる」という本です。
この本だけでなく、東田さんの著作をいろいろ読んで、私自身の発達障害に対する思い込みが間違っていたと気づきました。いまでは、電車の中で走り回って大声をあげている人を見かけても、以前のように分かっていない人と思うことはなく、物事に対する感度が良すぎてそうせざるをえない、あるいは、いろいろ考察したり感じたりしているのだと思うようになりました。
さまざまな形で発信していることばとして表出できないことばを受け取れないでいるこちらの問題であると。

東田さんの文章は気づかなかったような事、そんなふうに発想したことがなかったことにあふれていて、教えられます。東田さんの中の記憶というのも面白い。時系列になっていなくて、昨日の事と10年前の事が同じ平面上にあるとのこと。だから、昔の嫌な事もつい今あったかのように思い出すので、パニックにつながりやすいのです。
その点、自然を見つめたり、風の音を聞いたりすることは、たったいまのことに没頭できて彼の心はどこまでもひろがるのです。

現在過去未来が時系列にありすぎるのもどうでしょうか。特に都会に住んでいると、いつでも段取りよく先のことを考えて行動しないと、一日でするべきことが終わらないと感じている私たちがいます。いまここに注意を傾けるのは、とても難しいことになります。私自身そういう毎日をおくらざるをえません。

でも、そんな日常の中に気功があると、東田さんの自然にたいするように雑音をすべて忘れて、没頭できます。部屋の中でも降り注ぐ日の光を感じ、波の音を聞き、同じ場にいる人と今だけのときを共有する、気功の時間は特別です。
そんなときを持っているので、私らしくすごすことができています。
東田さんの感性には及ばないとしても、こんな時間は誰にでも必要です。    道子



                       部屋のベランダから見た紅葉